
ドイツのフューネラル・ドゥーム・メタル・バンドの1STアルバム。
屈指のとっつきにくさを誇るジャンルの中において、引き伸ばしや反復といった常套手段に頼り切らなかった本作は、ありえないほどのドラマ性に満ちている。
たゆたう水面、大嵐、深海といった海の情景を思い浮かべさせる豊かな叙情性、多量の音楽的アイデアをごった煮にせずにまとめあげる構成力、それらを支えるステファン・アドルフ(Vo、Bs)による「海のうねり」を感じさせるプロダクション、すべてが素晴らしい。
フューネラル・ドゥームの雰囲気に慣れない人にも自信を持ってオススメする。
ちなみにバンド名の示すとおり、メルヴィルの「白鯨」をモチーフにしており、歌詞もそこからの引用が多い。公式サイトでは、メンバーを「船員」、音源を「積荷」、ライヴ告知を「捕鯨」と表現する。この手の音楽は歌詞や世界観が抽象的になりやすいが、非常に具体的なコンセプトを持っており、それが他との差別化につながっている。
【おすすめの一曲】
♯3 "Old Thunder"
抜群に抒情的な一曲。雄大な海の風景が思い浮かぶ。Drがとてもダイナミック。
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