
ドイツのゴシック・メタル・バンドの4TH。バンド形式ではなくなり、ほぼステファン(Vo,Gt,Bs,Elc)のソロプロジェクトとなった。
本作では前作までかすかに残っていた明るさなど面影もなく、ひたすら鬱々とした、投げやりな感情を描いたような作曲である。
確かに叙情的なメロディは使っているのだが、北欧メロデスのような泣きのメロディではなく、曇天、積雪の果てしなく続く冬景色を見せられているかのようだ。ステファンの操る浮遊感に満ちたエレクトロニカもまた曲の暗さを増幅する。
また、単なるだみ声にしか思えなかったボーカルが大幅に成長し、力まない気だるげな歌唱には艶が、デスボイスには迫力が生まれた。
随所に登場するリードギターの、まるでポスト・ブラック・メタルのような悲愴も良い。
今までの煮え切らない雰囲気を脱し、一気にゴシック・メタルのあるべき姿にまで到達したことに拍手を送りたい。
捨て曲一切なしの好盤。
【おすすめの一曲】
#2 "I Deny You"
何と言っても歌詞が良い。深い絶望と憤怒に満ち溢れた名曲。
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